経営学と経営者

 「やさしい経営学」(日本経済新聞社編、日本経済新聞社、2002年、648円+税)では、野中郁次郎さんは次のように書いています。
「経営学を志す者には、基礎学問に裏づけられた幅広い知識の習得と、足しげく現場に通い概念を作り上げることとの間の往復運動が求められる。」
経営を研究する経営学者と成ろうとする人は、研究の場での知識の習得だけではなく、経営の現場に足しげく通わなければならないといっています。

 また、神戸大学名誉教授の石井淳蔵さんは著書「ビジネス・インサイト」(岩波新書、2009年,819円)で、次のように書いてます。
 「確かに、いろいろなプロのいる中で、経営学者ほど頼りにならないプロはいない。医者でも法律家でも、大学で教えることもできれば、実際に病気の治療や裁判所で判決を下したり弁護をしたりする仕事ができる。ゴルフのレッスンプロでも、ゴルフ自慢の素人を教えることができる腕前をもっている。ひとり経営学者のみが、経営ができないにもかかわらず経営(学)を教えている。」

 経営学を研究するのは経営者ではない経営学者だということです。

?

?

 たとえば医学を考えた場合、医学を必要とする人は病気の患者さんであり、またその病気を治療しようとしている医者だといえます。
では、経営学の場合ではどうかというと、経営学を必要とするのは経営活動をしている企業や組織であり、またそれを経営している経営者であるといえるでしょう。

 医者の全員が医学を研究しているかというとそうではないでしょうが、しかし医学を研究しているのは医者であるということはいえるでしょう。これが経営の場合には、経営学を研究するのは経営者ではなく経営学者であるということになります。

 なぜ、経営学を必要とするはずの経営者が経営学を研究しないのでしょう。

?

?

 学者というのは何をしている人たちでしょうか?大学院博士後期課程で学び、やっと理解してきました。

 世の中には、人類誕生以来の「知恵の塊」があります。そしてその知恵の塊を大きくしていくのが学問の発展ですが、そのためには現状の「知恵の塊」をよく観察し、自分の専門とする分野がどのような形になっているか、そこに自分の新たな知恵をどう加えるかを検討し、それを世に問うて自分の知恵を塊に付け加えます。その際、間違った認識だったり自分勝手な解釈だったりすると周りの学者たちから反論を受け認められないものとなります。
この論議の場に立つための免許証が博士号であり、博士号を取得する過程でこれらのことを学びます。

 もう少しわかりやすい表現がこちらの「kkatouのブログ」にありますしたので、ご紹介します。
http://www.tyzoh.jp/community/kkato/2010/08/16_123030.html

?

?

?

 実際の経営、実務の世界と、学問の世界の違いを例えて言うならば、実務の世界はドスを持って喧嘩をする街のヤクザの世界で、学問の世界は、道場で木刀を持って試合をする世界だと言えます。

 道場の剣術の師範が学者で、師範はときどき街中へ出ていき遠目からヤクザの喧嘩を眺めていますが、怪我したり死んでは困るので自ら喧嘩に参加することはありません。
それでもヤクザにドスの握り方や振り方のアドバイスや、喧嘩相手の弱点を教えたりすることはできます。

 街のヤクザは喧嘩では剣術師範に勝てるかもしれませんが、道場で剣術の試合となると勝手が違います。なにより道場の門を叩いても入門を許されませんし、入門したとしてもその後の礼儀作法を覚えるのも大変です。

 このような様子なので、なかなか実際に経営をしている経営者が学問の世界へ進むことはありませんでした。
現在、私は学問の世界に入門を許され、礼儀作法を身につけている最中です。この後、実際に木刀を持って剣術の稽古・試合をしてくわけですが、それを乗り越えて、やっと実務家自身が学者の世界で物をいうということが実現します。

?

?

 現在、経営学の研究者が実際の経営現場を研究するには次の4通りの方法があります。

1.サーベイリサーチ アンケート調査などで沢山の対象を統計的に研究
2.ケースリサーチ インタビューなどで個別の会社を研究
3.アクションリサーチ 研究者が経営の現場に関与して研究
4.イノベーション・アクションリサーチ 研究者が新たな理論を試すために経営の現場に関与して研究

この4つとも主人公は研究者です。

第5の新たな道は、経営者自身が研究者となって研究することになるでしょう。

?

?

 日本の企業の80%近くが赤字決算だといわれています。事業所数の99%は中小企業であり、規模が小さくなればなるほど、組織論や管理会計とは無縁のものとなっています。

 地域が、そして日本が元気になるには、1軒1軒の中小企業が元気になることが近道だと考えます。会社が元気になれば、そこで働く人たちも元気になりますし、その家庭も明るくなるでしょう。

 赤字で苦しむ中小企業がどうしたら元気になれるのか、そのために経営学は何ができるのか、これに一番ストレートに答えることができのは、苦しみを経営済みの経営者が経営学者になることだと思います。
研究者が経営の現場に足繁く通うように、経営者も学問の世界に顔を出し、自分の言葉で考えを述べる、このキャッチボールが日本を元気にしていく源となるでしょうし、それが世界に広がって、豊かで平和な世界が広がっていくのでしょう。

?

?

 皆様の励ましのクリック →?  本当にありがとうございます。
現在は北海道のカテゴリで18位前後です。

(現在、携帯でみるとバナーが表示されないケースもあります。そのさいはリンク先と表示された部分をクリックするかもしくはhttp://blog.with2.net/link.php?737084をクリック願います。
会社や家庭から上記のバナーを一日に一度クリックすることでポイントがカウントされてます。 ポイントの反映には30分~1時間ほどかかります)

Tags: , , , , ,

Leave a Reply