経営学と経営者

 経営者の皆さんは毎日経営をされていますが、経営者になってから経営学をきちんと学ばれた方は少ないのではないでしょうか。学生時代に経営管理論や経営組織論などを学んだ方は多くても、実際の経営とは縁遠い学生時代では、経営者が経営学を学ぶ場合と比べ、得られるものが違っていると思います。

 私は現在、経営者の立場で小樽商科大学院博士課程に籍を置き、経営学(正確には商学)を学び研究しています。そこで感じることは、経営者にこそ経営学(商学)の知恵が有効だということです。?

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 学生、社会人、経営者の大きな違いはなんでしょうか。経営学や商学を学ぶ上での大きな違いとしては、
1.お客様から対価としてお金をもらう経験がある、意見の違う部下や上司と協調する、
2.雇用を守る義務を感じ、従業員へ給与を払い続ける
これらの経験の有無が学ぶ立場としては大きく違うとこだと思います。

? 学生時代は勉強することが主な仕事で、それはやるもやらぬも自分の意志次第です。第三者の意志は関係ありません。自分の思い通りにできる世界であり、上記の1や2は経験してません。

 社会人になると1の経験を積むでしょう。社会人を対象としたMBAも多くあり、実際の事例を取り上げ研究するケーススタディなども行われいます。仕事に活かす「術」として、経営学、商学を学ぶ人が多いでしょう。

 経営者になると、雇用を守る義務を負います。従業員の生活を守るためにの経営を維持発展させなければなりません。そのためには、経営者自身に、「何のために経営しているのか」、「自分の人生をどう生きるのか」、さらには「人生とは何か」という哲学的な思いが必要です。

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 「ビジネス・インサイト」(石井淳蔵、岩波新書、2009年,819円)という本には、次のような記述があります。
 「確かに、いろいろなプロのいる中で、経営学者ほど頼りにならないプロはいない。医者でも法律家でも、大学で教えることもできれば、実際に病気の治療や裁判所で判決を下したり弁護をしたりする仕事ができる。ゴルフのレッスンプロでも、ゴルフ自慢の素人を教えることができる腕前をもっている。ひとり経営学者のみが、経営ができないにもかかわらず経営(学)を教えている。」

 また、「やさしい経営学」(日本経済新聞社編、日本経済新聞社、2002年、648円+税)では、野中郁次郎さんは次のように書いています。
 「経営学を志す者には、基礎学問に裏づけられた幅広い知識の習得と、足しげく現場に通い概念を作り上げることとの間の往復運動が求められる。」

 つまり、経営学者は経営をしたことがないので、経営の現場に足繁く通い、現場を知らなければ駄目だということです。

 では逆に、経営者が経営学者と同じ土俵で話をするにはどうしたらよいのでしょう。
そのためには、経営者が、基礎学問にうらづけられた幅広い知識を習得し、経営の経験にもとづいた概念を作り上げることが必要となるのでしょう。

 私は自身の20年の経営経験とその間に見聞きした数多くの経営者の体験を持って、小樽商科大学大学院博士後期過程の門を叩きました。博士号が学会での活動の免許書といわれています。経営学者が経営の経験がないのであれば、経営の経験があるものが同じ土俵にあがり、意見を交換する。このことによって、経営学の進歩のレベルが一段階あがるものと考えます。

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「経営は哲学なり」(野中郁次郎 ナカニシヤ出版 2012年 2000円+税)という本で、野中さんは次のように書いています。
 「経営においては「これを行えば絶対確実」という絶対的法則もしくは普遍的方法論は存在しない。なぜなら、企業を取り巻く環境は、複雑な因果関係と偶然性に満ちており未来は不確実だからである。自称の絶え間内変化のなかでは、有効とされる既存の考え方や仕組み・方法論は陳腐化していく可能性をつねにもつ。過去の成功体験にとらわれすぎると、しばしば失敗するのはこのためである。」

 また、小樽商大大学院の後期授業でテキストにした「行為の経営学」(沼上幹 白桃書房 2000年 3300円+税)にも、支配均衡の及ばない世界(自分の思い通りにならない世界)では普遍法則は存在しないと書かれていました。

 つまり、経営においては「こうすれば必ず良くなる」という法則がないということです。では、経営学はどのように経営の役にたつのでしょうか?経営者が経営学を学ぶことは無意味なことなのでしょうか?

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 私は無意味でないと思うから博士課程に社会人入学しました。無意味でないというよりは、実際の経営を体験してきている経営者が経営学者と対等な土俵で情報交換することにより経営学が実際の経営に役に立つように一段とレベルアップするのではないかと考えています。

 囲碁や将棋の世界にも必勝法は無いでしょう。もし必勝法ができたとしたら、相手はそれを打ち破る方法を必ず考えてくるでしょう。こうしたら必ずこうなるという必勝のための普遍法則は無いのです。
しかしながら、定石というものがあり、これを学ぶことは囲碁・将棋の実力をつけるのに意味のあることでしょう。定石を知ることにより、局面局面での判断に間違いが少なくなると思われます。また、定石を学ぶという練習の時間が、相手の実力に関係なく自分の実力を育てるでしょう。

 経営において普遍法則が及ばない部分はあるが、自らを高めるための行為は絶対に有効であると私は考えますし、それがベースになり、経営全般の実力がアップしていくものだと考えます。そこにある原理原則、普遍法則を明らかにし、世に問いたいと考えています。

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 「不易流行」という言葉があります。松尾芭蕉の言葉だそうでうで、常に新しいことを求めていくのが俳句の本質だという意味だそうですが、一般には「いつまでも変化しない本質的なものを忘れない中にも、新しく変化を重ねているものをも取り入れていくこと。」と解釈されています。

 経営においても「いつまでもへんかしない本質的なもの」をしっかり身につけた上で、「新しく変化を重ねているものをも取り入れていく」が大事であり、経営学を学ぶ上でも大事なポイントでしょう。

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 自動車を運転するには免許証が必要です。免許証を手にするためには自動車学校に通い、自動車の運転の仕方や交通法規、車の構造などを学び、試験に合格しなければなりません。そのようにしないと、交通事故が増え、社会の迷惑となるからです。

 では、会社経営はどうでしょう。経営に失敗すれば従業員は失業し、取引先やお客様にも多大な迷惑をかけることになります。しかしながら、会社経営には免許証はいらず(一部の業種を除く)、誰でもやろうと思えば始められます。しかしながら、開業後5年も持つ会社は半分程度という統計もあります。(最新の統計資料を調査中です。)

 経営者には、経営に必要な知識の習得とその実践が不可欠です。忙しく仕事をしていても経営ができていない若手経営者を見るたびに、将来が心配になります。私は機会がある度に、また小樽商科大学博士課程での学びを実際の経営に使えるようにお話する研究報告会を開くなど、できる限り啓蒙に努めています。このような動きが世に広がり、より多くの経営者がきちんと企業を維持・発展させていくことができる世になることが、世界の幸せにつながるものだと信じます。

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